前回に引き続き後遺症認定に必要なことを述べていきます。
Ⅰ因果関係の証明ついて
まず因果関係についてですが、
ア)交通事故による傷害であること、
イ)傷害を受ける程度の事故だったこと、
ウ)傷害が原因となっている後遺症があるという
3点を証明します。
ア)交通事故による傷害であるかどうかは、病院でいただく診断書に後遺症の原因となる傷病名
が記載されているかどうかにより判断されます。
良くない例として、首の痛みの後遺症が残ったのに診断書に首を負傷した記載(頸部捻挫)がない場合、
診断が出たのが事故から何週間も後である場合などは、事故による傷害であったとしても認められません。
はじめに病院でケガの確定をきちんとしておくことが求められます。
イ)追突事故などで車の損傷がほとんどないのに症状を訴える場合があります。
常識的にみて、車が壊れていないのに中の人体に強い衝撃が加わったとは考えにくいのです。
認定する側もある程度の衝撃力がなければ人体は損傷するものではないという立場です。
こういう場合には、衝撃力と損傷の程度に整合性が見られないとされ、
痛みなどの症状の存在を疑われることになります。
車が大きく破損=人体にもケガが大きいと判断されるわけです。
ウ)交通事故による傷害が原因となっている後遺症かとうかとは
首の痛みやシビレが以前からあったものでなく、事故の後から出てきたものだと証明できるかどうか
ということになります。こういう場合には病院で、この症状は外傷性のものであるという事を
理由をつけたうえで診断書に記載してもらうことが重要とされます。
一例として、交通事故の後、首のヘルニアと診断されたが、事故を遅すまではなかったものだから
それが事故によるものと考えられるといった具合にです。
ですが症状もないのに以前から病院にかかる方は少ないように思われます。
そのためウ)は少し証明が難しいものとなります。
Ⅱ症状の永続性
症状固定時(主に6か月以降)に痛みが残っていても、このまま時間薬でいずれ痛みはなくなると
推測できるものについては、もちろん後遺障害の認定の対象となりません。
また 一般に治療効果期待できたにもかかわらず、短期間(1~3か月)で治療をやめた場合
まだ回復の見込みがあったのではないかということで永続性がない症状だと判断されやすいです。
「損害保険会社の言うとおりに3か月で治療をやめたのに…」認定されないのはこういう理由です。
加えてその症状、たとえばシビレなどが出る日があれば出ない日があるこういう場合も
永続性なしと判断されてしまいますので少しでも症状があれば、簡単に症状がないことがある
と言っては不利になります。
Ⅲ他覚的所見の有無
むちうち症は他覚的所見(レントゲンやMRIの画像診断)がなくても14級が認められます。
つまりは他覚的所見の有無や程度により14級か12級に分けられるのです。
等級表では12級と14級と違い「頑固な」と表記があるのが違いです。
たかが「頑固な」といいう表現ですが 症状が平均的な12級のむちうちの症状より
強い場合、永続性が高く頑固で軽減の見込みがかなり薄い場合が12級
というイメージで感じられると思いますが、
実際には先ほどのレントゲンやMRIでの骨折、ヘルニア、神経根症、が確認できたり
その他、反射、筋萎縮 などの他覚的所見の程度により12級か14級かが分かれるとされています。
しかし「首のヘルニアがみられる」「脊髄の損傷がる」「胸郭出口症候群と診断」
「正常と比べ首の骨が曲がっている」などといわれた場合でも12級になるとは限らないのです。
もちろん12級に認定される可能性は高いと思われますが、総合的に判断されるので、
必ず認定とは言えません。
医師は治療のために診断基準に該当すれば、後遺障害の認定を前提に話をしますが、
診断基準と後遺障害の認定基準は別のものであるため医師のいうとおりに通ったのに認定されないということになるのです。
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